桂林理工大学 日本語教室 探訪記 - 基本情報|中国旅行のチャイナエイト
生活レポート プリント
桂林理工大学 日本語教室 探訪記
更新日:2015年06月23日

中国の都市部は、改革開放後の経済発展に伴い、
人口集中が進んでいます。
それに対処する為多くの都市で、市内に本校を残し
郊外へ広大なキャンパスを構え、増加する大学生を
受入れています。

你好!ようこそ~China8へ!!

本日は、最近早朝ウォーキングへ行った七星公園内で知り合った、理工大学の日本語教授「曾先生」へ見学のお願いをし、こころ快くO.Kを頂き、講義を見学させて貰うことになりました。

 

そのレポートをお送りします。

 

撮影日:2015年5月28日・30日

撮影場所:桂林理工大学 郊外キャンパス

 

現在、桂林においても中国の他都市と同じく、手狭になった本校を市内に残し、数万人が学ぶ広々とした郊外キャンパスへと、重心を移しています。

 

約束の見学日早朝、本校と郊外キャンパス間を連絡する理工大学専用バスを、途中の中継

ポイントのロータリーで、曾先生と共に待ちます。

バスは教職員専用でおり、学生は基本的に学内の寮で生活しています。

 

バスで本校と郊外キャンパス間は約1時間、ロータリーからは45~50分間程とのこと、快適に走り郊外キャンパスへ近付くにつれ、旅遊大学・師範大学と通り過ぎ、最も先に位置する

理工大学へ到着する。

 

広大なキャンパス内へ点在する建物群をぐるーっと回りながら、それぞれで

少人数降ろしつつ、終点の外国語学院が目差す校舎である。

 

8時15分に着き、6階建の教室棟へ上がって行く。

8時30分始業とのことであるが、教室には1人の学生の姿も無い。

5分前位になり、一時に学生が入って来る。

 

最初に曾先生に紹介され、学生さんの前に立ち、公園でレコーダーを片手に日本語を復唱しながら歩く先生に声を掛け、知り合いになった経緯を話し、本日は宜しくお願いしますと

挨拶する、学生さん達も声を揃えて気持ちよく、一斉に「お願いします。」と返してくれる。

 

中国人の先生による中国人学生への講義であるが、3年生クラスでもあり、殆ど日本語で進められ、私にも問題なく理解できる。

 

教室は視聴覚室になっており、モニター1台の両脇に音声応答器を配置した4人掛けデスクが、真ん中通路を挟んで2列、従に6列並んでいる。

 

午前中は4時限で、1~2時限と3~4時限を、それぞれ一括りとして講義される。

最初の講義を受ける顔触れの二十数名の内、3~4の男子が混ざるものの、その殆どを

女子学生で占められている。

 

講義は、佐藤栄作首相が訪米時の日米会談で、繊維通商問題の日本側の一方的輸出超過により、米国の赤字が膨らんでいる問題の協儀の際の発言を、帰国後の国会で野党に

追及されたとの新聞記事を引用した、日本の著名随筆家の文章をテキストに進められる。

 

前の教卓に置れたパソコンで操作され、学生席のモニターへ要点が次々に表示される。

首相の答弁は、「私は決して確約をしたことは無く、日米会談においては、前向きに検討すると返答した、それを米国側が約束と誤訳したのだ。」との内容であり、日本人にとっては、

何時もの政治家の発言と理解できます。

 

曾先生は2・3年前に、愛媛大学へ1年間日本語研究で公費滞在されていたこともあり、さすがに日本のことに精通されており、この日本人的な曖昧表現が、外国人との間では全く違う意味に取られ兼ねない例として講義されており、とても興味深いものでした。

しかし、学生さんにとっては、相当高度な内容でもあると感じました。

 

最初の1-2時限の講義が終了し、次の3-4時限も同じ教室を使用するので、入れ替わり新しい学生さんが席に着きます。

 

このクラスも3年生で、前のクラスより一歩進んだ課程を学んでいるとのことです。

ここでは、日本語表現でのこなれた言回しを、学習ポイントとしているようです。

 「出るところに出る」 (=警察、裁判所へ行く)

 「どうにも」  どうにも手の施しようがない。

 「とうにか」  どうにか歩けるようになった。 どうにかならないでしょう?

 「とかく」 (ともすると、ややもすれば) とかく黒白をつけたがる。

        あせってやると、とかく失敗しがちだ。

以上のように、日本語らしい表現を狙いとして進められ、その上に京都弁・関西弁も解説され、

 ありがとうございます = おおきに

 いらっしゃいませ   = おこしやす

まで、講義内容に入っているのには、ビックリしました。

 

4時限目が終了し昼休みになり、この後私を学内へ案内してくれる学生を、先生が募ってくれ、各1名の男女学生と、昼食に学内食堂へ行きました。

3人で食事をしていると、曾先生も合流される。

食後、先生の教官室へ案内される。

 

可也広めの部屋で、どちらかと言うと会議室かなとの雰囲気である。

壁面の本棚には、日本人から寄贈された日本語の書籍がずらりと並んでいる。

 

この場に、1・2時限目のクラスの1人の女子学生も来てくれ、彼女も一緒に校内見学へ

出掛ける。

 

学食での昼食を、案内役の女子学生に御馳走して貰ったので、お返しに私が休憩しようと

皆なを喫茶室へ誘う。

女子学生2名、男子学生1名とテーブルを囲み、お茶をしながら長時間話し込んでしまう。

 

後から合流の彼女は、講義の時間内にも、私の身近に座り、質問してくれた学生で、均整のとれた綺麗な足をホットパンツからスラリと伸ばし、ロングヘアーの三島由紀夫文学へ関心を

持つ、笑顔のチャーミングな学生である。

 

70歳代前半になる私自身は、日本においてこの年代の若者に、洟も引っ掛けて貰えない年代にも関わらず、只々日本語が話せるだけで、こんなにもうら若き乙女に、和やかに話しかけて貰え、誠に嬉しいかぎりである。

 

もう一人の女子学生は「私、ネットで稼ぎがあり、お金持ちです。」と話すスポーツ愛好家のしっかり者です。

ここのお茶代は私が払うとお金を握らせても、お客様には払わせられませんと、結局、昼食とお茶代も併せて彼女が払ってくれ、将来は女社長間違いなしの、大人の対応する女子学生である。

彼女がどのような人生を歩むのか、追跡レポートをしてみたいような魅力の持主である。

 

男性学生は3人の中で、日本語能力は一番高く、真面目な努力家のとても好感の持てる青年である。

 

学生3人がどのように感じたのかは別にして、私は既に半世紀以前の学生時代にも拘わらず、違和感なくお喋りできたこの時間は、とても楽しいものでした。

 

その後、校内を案内して貰いました。

予てより、中国の大学の規模の大きは聞き及んでいました。

しかし、実際に見学すると、その広大さは驚きです。

 

学生は、殆ど学内の寮に入る為、アパート群と言える寮の棟数。

教職員の家族も一緒に暮らすマンション群、医学部は無いのに学内専用病院まで在り、中でも、驚いたのが、大学図書館の威風堂堂の巨大さです。

まるで文化の殿堂「国立劇場」と見紛うように聳え建っています。

 

先生によると、規模に比べ学生の図書館利用率が、芳しいないのが残念とのこと。

P.C.・スマホの普及した現代、日本の大学生も同じ傾向と言えます。

 

2日後の土曜日夕方より、外国語学院英・日語クラス対抗の外国語演劇祭が催されるとのことで、それにも見学させて貰いました。

 

巨大な体育館兼講堂が会場です。

入口を入ると、赤いマットを敷いた両側へ、スタッフの女子学生がズラーっと並び向えてくれ、華やかな雰囲気を盛り上げてくれています。

私の青年時代、誕生間もない社会主義中国の対外宣伝も兼ねたニュースとして、各都市に少年宮があり、小学生位から歌や踊りにスポーツと活発に行われ、新中国を担う、健康で健全な次世代を育てる様を視聴したものでした。

私の記憶の中では、中国の学生達は幼少期より、色々な才能を引き出される機会が多くあるのではと信じていました。

日本語劇6クラス、英語劇9クラスの3年生以下の出演がありましたが、

日本の小・中生の学芸会の演劇としても、可也低いレベルであり、些か期待外れでありました。

 

その中で光っていたのが、学内案内役を務めてくれた男子学生が主演した「吉四六」さんでの彼の演技は、ちゃんと吉四六さんとしての人物像が伝ってくるものでした。

優等生タイプに思えた彼の、別の才能を見た場面でした。

後、英語劇の2クラスが印象に残る程度で、他は全体としてたどたどしいセリフを追い回して動いてように見えました。

 

今回の訪問で、格別に嬉しく思えたことは、理工大学外国語学院での採用外国語が2言葉のみでありながら、世界共通語として活用の機会の多い英語は当然としても、残り1つに日本語が採用されていることは、

近代史において日本からの大き被害の疵痕を遺した事柄や、最近の諍いを包み込む、長き長き中国と日本との交流の時の積み重ねがあってのことと実感できたことです。

 

私が現役で働いていた当時、日本で中国人留学生アルバイターを、度々採用したことがあり、その経験から、彼・彼女等の勉学にバイトに取り組むひたむきな姿勢に、心動かされたものでした。

私が知るこれら留学生は、目の前の学生達の15~10年前の先輩に当たり、今現在の学生の実像とは異なるように感じます。

 

今日の学生達は、豊かになった中国世界で成長した世代です。

良くも悪くも、日本の若者世代・学生達と全く同じ空気感の持主であるように感じます。

嘗て、先輩達に感じたひたむきさは消え、学生さんからはそんなことは無いと否定されるかもですが、外からは、自由であり楽しい学園生活を満喫しているように拝見しました。

日本語学科の先生と学生さんへ 謝謝!

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