食事レポート |
「狗肉鍋」探訪記 |
更新日:2019年05月24日 |
「狗肉」とは犬肉のことです。中国の南部地域では、昔から犬肉を食べる習慣がありました。他にも、朝鮮半島やタイの山岳少数民族の間でも、広く犬肉を食べる習慣は残っています。 |
ニ-ハオ!チャイナエイトへようこそ
今回は、桂林の食の中でも、別格の存在である「狗肉」をご紹介します。
撮影日:2013年4月20日
撮影場所:広西省桂林市 龍隠路「吉昌酒家」
ェ~……あの可愛いワンちゃんを食べるなんて、と思った方もいらっしゃるでしょうが、昔は、犬の存在は今のような愛玩犬ではなく、牛や馬のように荷車や橇を曳いたり、羊やその他家畜を守り、狩りの際には獲物を追立、人と共に働く一員でした。
当然ですが、「狗肉」の犬達は、通りにいるものやペットの犬を捕まえてくるわけではありません。牛、豚、羊、鶏と同じく、最初から食用として飼育されているものです。中国医学では、体を温める作用があると考えられている為、冬の寒い時期に好んで食されます。しかし、同じ広西省内の玉林市では、夏至の荔枝(レイシ)の旬の時季に、「狗肉荔枝節」を催し、身体を冷やす荔枝と体を温める犬肉を合わせて食べる祭りを行います。
桂林を訪れる友人やお客様を持て成すに、美味しい食事へご案内することは欠かせないことです。桂林と言えば‘米粉’(ビーフン)とこだまする程で、通りに立ち辺りを見回せば、必ず1、2軒の米粉店が目に入ります。それぐらい安く気軽に利用される米粉店は、立ち食いうどん・そばの店と同じような雰囲気で、お客様をご案内して食事するような所ではありません。
市内に中国料理の本格的レストランは数多くあります。その中で中国人でも、知っているけど食べたことの無い人もいる。少々値段も高くや特別な部類に入る「犬鍋料理」をご紹介します。
先日、上司の誘いで半年ほど前に開店した「吉昌酒家」へ行きました。私の経験では、犬鍋専門店は簡素な造りの大衆的な店铺のイメージでした。ここは、5階建の本格的レストランです。
1階は豪華な玄関になっていて、受付と応接のみになっています。2階以上が食事室になっていて、2階はワンホールの一般客用、3-5階が予約客用の個室になっています。
私達一行は、4階の個室へ通されました。
個室は10人程がゆったと座れる円卓が置れてあり、室ごとに専用トイレも附いています。又、個室専属の女性服務員(サービス係)が配置されており、付き切りでサービスしてくれます。
中国のハイテク化が進んでいると実感するのは、服務員が注文の料理をタブレット端末を用いて、厨房へ通しているのを目にした時です。
料理の味を文章でお伝えするのはとても難しいのですが、犬鍋は、一口大に切った骨付き肉を、少し甘辛いタレで鉄の大鍋にて煎り付け、その大鍋を円卓の真中に据え、直にめい々が取り食します。少し硬めの肉はじっくりと噛み締めると、じわっと肉の旨みが口中に広がり、これが肉を食する実感だな−と思います。
犬鍋の他に、湯(スープ)、川蝦、魚、貝類と野菜料理を注文し、楽しく雑談しながら料理が出てくるのを待ちます。
円卓を回しながら、皆でその他の料理もあらかた片付けた頃に、鉄鍋の底に残ったタレへスープを足し、それを米粉を入れ食事の〆にします。これは、犬肉の旨みがたっぷりと味える米粉で、素晴らしく美味しいものです。この楽しみの為に、犬鍋屋へ来ると言う人もいる程です。
時代を経て、現在まで伝っているものには、それなりの価値があります。皆様も桂林へ来訪の際は、是非一度体験されることをお勧めします。
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