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11ヶ国語を操る農民のお婆さん〝月亮ママ〟
更新日:2014年12月31日

桂林は、古くから中国において“山水の景観は天下一である”と称えられた景勝の地です。船下りの終点の地・陽朔からずぐ近くに、「月亮山」と言う観光スポットがあります。
ここを案内するガイドの一人に、大変珍しい経歴の人がいます。

ニ-ハオ!チャイナエイトへようこそ

その人は、月亮山の前にある小さな村に住む、今年68歳になる農婦です。

小学校を3年生で辞めて以来、学問には縁の無い農民として暮らしてきました。

日々の農作業で色黒な皺の多い膚をした小柄な痩せっぽちのこのお婆さんは、間違いなく、陽朔県高田郷のこの歴村で、このまま一生を終わえる運命でした。

 

しかし、時代の大きな‘ウネリ’が起り、彼女にも転機が訪れました。

改革開放で、桂林・陽朔に内外の観光客が増えるに伴い、陽朔郊外の「月亮山」にも訪れる外国人が増えてきました。

小さな田畑にしがみついて生活していた村人達は、このような状況をチャンス到来と、1996年頃に、水や食べ物・みやげ物などを手に提げ、外国人観光客へ売る人々が現れました。その中の一人に、50歳を越えた彼女の姿もありました。

最初は言葉が全く通じず売行きの悪い日々でした。英語の挨拶や数を憶えると、徐々に売行きも上がり、それから意識的に英語を習得する努力を始め、外国人客との交流で会話も上達してゆきます。

そんな或る日、知り合った外国人に地元の案内を頼まれ、ガイドしてあげるとチップ代わりの謝礼を貰いました。多分、外国人にとってたいした金額でなかったと思いますが、彼女にとっては水売りより遥かに効率のよい収入でした。

それ以来、本格的に英語学習に取り組み、2年後の1998年9月に桂林観光局は彼女に、ガイドテスト免除の上で外国語ガイドの免許書を交付しました。

彼女の存在は、欧米の個人旅行者の間でとても人気が有り、口コミやネットで評判が広がり自然に“月亮ママ”と呼ばれるようになりました。

 

2002年、このウワサを聞きつけた中国のテレビ各局も取り上げ、中央テレビで全国放送もされ、今では“月亮ママ”の名は中国全土に知られるようになり、インターネットやガイドブックでも、この名を探すことができます。

 

自分でも知らなかった外国語能力に目覚えた彼女の努力は続き、今では、英語・フランス語・スペイン語・ロシア語・日本語・韓国語のほか11か国語を話せるようになりました。

 

良心的な低料金で、丁寧な案内をする“月亮ママ”は人気が高く、彼女の名を慕って来る観光客も多くなりましたが、彼女は相変わらず素朴で質素な生活を続け、「暇な時は畑を耕しながらの生活を続けたい」と話しています。

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