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観光地レポート |
キャセイ・シアター |
更新日:2015年06月11日 |
上海市街地のど真ん中、かつてフランス租界の目抜き通りだったAvenue Joffre(現・淮海中路)と、Route Mercier(現・茂名南路)が交わる交差点の角に、租界時代に建てられた映画館が今も残る。キャセイ・シアターは淮海中路870号にあります。 |
淮海中路は最も上海らしい通りだ。道路の両側に植えられたプラタナスは夏は緑濃く、秋は黄金色に街を染め上げる。この通りが「アベニュー・ド・ジョフル」と呼ばれていた1911年からその姿はずっと変わらない。陽光がプラタナス葉の間から射し込み、人々の体に金色の斑点を作る。そんな通りと茂名南路との交差点にキャセイ・シアターがある。
【歴史】
キャセイ・シアターの中国語名、国泰電影院は本来「国泰大劇院」という名だったが、1979年に現在の呼称に改名された。この映画館は上海に暮らす外国人が資金を募って設立し、国光連合影業公司がマネージメントを担当。上映ホールは約千人収容可能で、シートのすわり心地は快適で間隔も広く、各シートに「訳意風」という翻訳機が設置されていた。キャセイ・シアターの所在地はフランス租界の中心で当時有名な外国人居住区だ。皇家花園、ヴェルダンテラス、キャセイ・マンション、フランスクラブなどのすばらしい建物が1930年に次々とこ一帯に建ちゴージャスなライフスタイルを展開し始めたところへ、ハイクラスな娯楽場としてキャセイ・シアターが加ったことで、このエリアが上海でも最も活気溢れるエリアの一つになった。
1932年1月1日、キャセイ・シアターがグランドオープンし、柿落としにアメリカMGM社の映画(自由の魂)が上映された。奇妙なことにこの映画館はフランス租界内にありながら、1949年まで一度もフランス映画が放映されることはなく、雨リアのパラマウントやMGMなどハリウッドの映画会社の者ばかりが上映された。何にせよ、当時の人々にとって、週末におめかしをしてキャセイ・シアターに映画を見に行くのが、間違いなく何よりもセレブ気分で心躍る外出だった。
李鴻章の末裔で女流作家、張愛玲が作品の中で「今の映画館は最も手軽な王宮だ。全てべろアガラスとスカリオーラが織り成した偉大なる傑作品。この造り、このドア、クリーム色の地下室。(中略)まるで巨大なイエローガラスのワイングラスの中にいるかのよう。特にあのキラキラ瞬く光は実に清らかで幻想的だ。」と記述している。
【建物】
キャセイ・シアターの建物は実際には縦より横に大きいのだが、赤紫色の泰山産レンガを白いラインでコーティングし、各フロアの窓枠も一本の縦線としてデザインすることで、高層ビル化のように錯覚させている。
どの方角から見ようともまず目につくのが、キャセイの高く聳える真っ白な旗竿だろう。天に向かって真っ直ぐに伸び、ロケットにも見える旗竿は建物の中軸上にあり、建物は旗竿を中心に見事な左右対称を描いている。ファサードも両端から中央にかけて階段状に隆起しており、こうした高層感の強調は、アールデコの象徴とも言うべき特徴である。同じアールデコ様式でも、キャセイの隣にある錦江飯店北楼とは外観が異なるが、細部の処理方法や同工異曲な部分が所々あり、集合建造物ならではのエネルギッシュかつハーモニックなムードをあたり一面に発散している。
1986年、キャセイ・シアターは大改造が施された。老朽化した設備は一新し、スタンド式のブラケットライト(立式吸壁灯)がフロアを照らすようになった。また、ビデオ放映可能なカフェやバーも増設した。
2003年上半期、キャセイ・シアターは再び全面リニューアルを実施。上映ホールは3つに分けられ、それぞれ赤・青・グレイをテーマカラーに、デザインはそれぞれ異なり、施設の快適さはもちろん、入場者を飽きさせないと、好評を得ている。
【リュミエール兄弟】
1895年にパリの喫茶店で自分たちが撮影した世界最初の映像を有料公開したのが、写真のリュミエール兄弟。それから世界の映画史が始まり、1896年8月11日に中国に映画が伝わる。1905年北京豊泰照相館のオーナー、任景豊が撮影した中国初の自主撮影映画「定軍山」が完成した。
【周辺紹介】
茂名南路は上海人にとって特別な通りだ。賑やかな淮海中路と違い、ここはすこし声をひそめつつ散策するような名店街でオールド上海の建物を見たり、バーで一杯、チャイナドレスを試着したり、美味しいものに舌鼓を打つ、ここにはワンランク上の楽しみが詰まっている。
歴史的建造物の参観なら、淮海中路ー長楽路間がお勧めだ。プラタナスが茂る中、錦江飯店(茂名南路)59号・花園飯店、蘭心大劇院など今でも見惚れる。一流の建造物が並んでいる。前を通るだけでも眼の保養が得られること請け合いだ。
複興路ー永嘉路間はバー・ストリートとして有名。ブルー・フロッグ、星座バーなどの老舗に夜な夜な若者や欧米人たちが集る。
この通りチャイナドレス専門店街でもある。上海灘、麗古龍などの通に知られたオーダーメイド店が営業している。カラフルで豊富なタイプのチャイナドレスの品定めをしてみれば、今の流行りが見えてくるかもしれない。
茂名南路のすぐ近くに、は一世代上の上海人なら知らぬ者いないほど有名な洋食店がある。今の上海モダンなお爺ちゃん、お婆ちゃんたちのほぼ全員がここで食事をしたことがあるだろう。本来の店名は殆どの人が覚えておらず、その店の赤い壁からこの店は「紅房子」という名で知られる。現在はフレンチのフルコースから創作料理までバラエティ豊かなメニュー構成でお客を迎えているが、ほぼ全てのテープルで注文される看板料理がエスカルゴ。この店に行ったら忘れずにオーターしよう。
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