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観光地レポート |
四明邨 |
更新日:2015年02月25日 |
延安路高架に沿って歩き、銅仁路地下道を抜けると古い「弄堂」がある。上海展覧センターの向いに位置する目立たない弄堂の入り口、その鉄門の上部に記された「四明邨」の三文字が唯一の標識だ。 |
【歴史】
四明邨の真ん中にある里弄の両壁には、他の集合住宅地でよく見られる黒板や掲示板ではなく、大理石に彫られた著名人の名言がある。かつてインドの文豪タゴールや、清朝末期に活躍した学者章太炎、詩人徐志摩などの文化著名人がここに暮らしていた。
残名ながら徐志摩の家は道路拡張の際に撤去されてしまったが、記録によると階下の中央が「客堂間」になっており、内装はシンプルだったそうだ。庭の脇「廂房」は徐志摩の後妻、陸小曼の父親の寝室。中二階の「亭子間」は陸小曼の母親の部屋。夫妻の寝室は2階の「廂房」で、そ水は「後小間」小曼の喫煙室になっていた。2階の客堂間には応接間として使用され、アヘンを吸うために使う「煙榻」と部屋の真ん中には「八仙卓」というテープルが夕食用におかれていた。何でも、陸小曼は昼食をとらなかったそうだ。彼女の生活は昼夜逆転しており、新婚夫婦の寝室には一日中深紅のカーテンが惹かれっぱなしに成っていたという。3階は徐志摩の書斎で分厚い絨毯が敷かれ、おしゃれな座布団が置かれていた。
1929年3月、タゴールが上海到着した。徐志摩は事前に手紙を受け取り、タゴールが自分の家に滞在することを知っていたので、陸小曼をと共に彼を迎える準備をしていた。
夫婦は3階にある亭子間をタゴールのために空け、インド人の生活習慣に合わせて厚い絨毯を敷いた。だがタゴールが気に入ったのは特大の机と本や雑誌が山積みされた部屋でそこにはオリエンタルな古色蒼然とした空気が満ちていると語っていた。
20世紀末「人間四月天」という徐志摩を主人公にしたテレビドラマが大ヒットし、若者たちが改めてこの詩人の恋愛史を知り、四明邨はたちまち有名になった。
【建物】
四明邨は新式石庫門、又は改良石庫門と呼ばれる構造の集合住宅だ。新式石庫門とは、従来の里弄の形式を保持しつつ、西洋家屋の構造や装飾、建材を取り入れたものを指し、殆どが共同租界とフランス租界の中心部に建立され、1910年ー1930年に最盛期を迎えた。四明邨は四明銀行が1922年と1928年の2度に互って建立した3階建てのレンガと木を用いた混合構造の家屋118棟からなり、占有面積は29150平方mと広大だ。
空中から見ると、四明邨は魚の骨のようだ。南北に伸びるメインの里弄を軸に、いくもの里弄がその両側に並んでいる。里弄の南端は高級住宅区になり、四明銀行理事長の別荘もここにある。北端は中級住宅区で、銀行管理者層の住宅が並ぶ。中心部に一般社員が住む低級住宅が集まっている。このように居住区域を明確に分けているのは金融機関のもったいぶった体制が反映されているのだろう。
四明邨は造型上では旧式石庫門のスタイルを捨て、人の字型に組んだ梁と山形の壁が特徴で、壁もそれまでの木枠ではなく、レンガを積み上げてある。こうした建築方法以外にたの一般的な上海里弄と異なる点はその堂々した風格だろう。里弄の幅は7メートルしかなく、車2台が同時に出入りするのは難しい。建物の山壁とベランダの透かし彫りは四明銀行のシンボルマークだった十字架に似た模様が施されている。家屋内の設備は近代的で、当時一般社員住宅でもガス、トイレが完備し各棟に車庫と小さな庭園があった。
【周辺紹介】
四明邨は高級ブティックな集る南京西路やお洒落なで手ごろな値段の洋服やバッグが入手できる陝西南路にも数分で行ける距離にある。「小鷺鷺酒家」は四明邨から徒歩圏内にある人気レストラン。芸能人のファンも多く、店内でばったりスターに会うことも珍しくない。沸騰鮎魚など四川料理をアレンジしたメニューを食べておおいに舌鼓を打とう。
近くにある人気レストランと言えばグレイの洋館「俏江南881会所」もお勧めだ。江南のムードに包まれているが、提供するのは四川料理。だが、辛さを抑えた料理も多く、店内の雰囲気にマッチしている。お腹が満たされたら延中緑地が無料開放されているのだから驚きだ。おしどりや白鳥が遊ぶ人工湖周辺を気ままに歩き、名前がのどまで出掛けかっているのにでてこない草花を見つつ、小鳥のさえずりを聞きつつ、自然を満喫しよう。
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