上海郵政総局ビル基本情報|プリントアウト
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上海郵政総局ビル
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(2票) 更新日:2015年05月07日

 上海郵政総局ビルは北蘇州路250号にあります。中国全土に現存する、保存状態が最もよい自国民が早期に設立した郵政ビルでもある。


黄浦江と蘇州河は上海にとって極めて重要な河川である。流水量や川の勢いは蘇州河は黄浦江よりも少なく、穏やかでこの蘇州河を上海人は親しみを込めて「母親河」と呼んでいる。蘇州河のビューポイントは四川北路橋の上だ。橋のしたを蘇州河が音も無く流れ、両岸には勇壮たる外灘の「万国建築群」がー正に歴史を実感できる場所である。


四川北路橋の北た基にそびえる馬蹄型の洋風の建物は1924年に建てられた上海郵政総局大楼だ。




【歴史】


古代中国の郵便システムは「郵驛」と呼ばれており、公的機関に代わって公文書のみを馬車などで郵便物を配達するのが業務で、郵驛の中継場所や休憩地点は「驛駅」とた呼ばれた。


上海開港後の1861年イギリスがイギリス租界内に郵便局を設立し、上海現地での郵便物配送業務と切手や葉書の印刷を開始。1878年清朝政府が郵便事務を海関(税関)に委託したことで、海関は総郵政司も兼任するようになった。有名な大龍郵票(切手)は同年に海関が発行したものである。


1896年になり、中国政府は正式に郵便行政を開始した。1911年、清朝政府は郵伝部及びその配下の郵務管理局を設立し、海関から全ての郵政業務を引き継がせた。1914年、中国は万国郵便連合に加盟し、上海郵務管理局は国際郵便物交換局に指定された。


1917年清朝政府は上海に郵政総局大楼の設立を決定する。建設予定地は公共租界内四川路橋の北側袂で欧米人の利用に都合が良く、蘇州河に接し、駅にも近いので上海市民にとっても便利な場所だった。


1922年、北京、天津の郵政ビル設立に引き続き、中国3棟目の郵政ビルが上海で着工した。設計はイギリス系のチュワードソン&スペンス事務所が施工は中国系の余洪記営栄厰がそれぞれ請け負った。(天津及び北京の郵政ビルは現存しない)


1924年三面を道路に、一面は蘇州河に面したクラシカルスタイルのビルが竣工。広大かつ華やかな郵政総局ビルのホールは「極東一の営業ホール」と称えられた。それから数十年、中国最大規模の郵政を代表する建造物として、上海郵便史を見続け、中国郵便行政事業の発展と開拓にも大きく貢献し続けた。




1986年「永久性建築」(恒久的建造物)に列せられたこの建物は今後、外界が如何に変換しようとも永遠にこの蘇州河畔にそびえ続けるだろう。




【大龍郵票】


清朝政府海関(税関)が郵政業務に乗り出した際に発行した、最初の切手。1セット3枚綴りになっており、清朝皇室の象徴である蟠龍をモチーフにした図案。1878年7月24日から8月1日の間に発行された切手の図案は五爪蟠龍で、縁は波型にカットされている。緑色の切手は「一分銀」で印刷品の郵送用、赤は「三分銀」で普通書簡郵送用、オレンジ色は「五分銀」速達用とそれぞれ記っての色で値段が異なり、金額は銀両で計算された。これは中国初めて発行した切手セットで、コレクターたちからは「海関大龍」、略称「大龍郵票」と呼ばれている。




【建物】


四川北路橋の上から見ると、橋がアーチ型になっているために郵政ビルの上2階と中央の鐘楼だけが見え、とても雄勁だ。17世紀のバロック様式の鐘楼は方形でファサードに直径3メートルのアラビア数字で表示された大時計が嵌め込まれている。




鐘楼の東西両脇には石彫りのトーチがあり、夜になるとビルを明るく照らす。鐘楼の反り屋根の下は4対の円柱からなる空洞になっており、小さいな神殿のようだ。反り屋根は郵政ビルのイメージカラーでもあるエメラルドグリーン一色に塗られている。鐘楼の基壇、東南・西北の両側に一組ずつ、交通と通信を守護する青銅の彫像があり、良く見ると、女神の足元には地球があるのが分かる。残念ながら当時の彫像は壊されてしまい、現在あるのは複製だ。




橋を渡りきってようやくビルの全貌が見えてくる。いかんにこの建物が大きいか、道路1ブロック丸々がこの建物なのだから、一回りするだけで足が草臥れてしまいそうだ。




ビルは地下一階、地上四階建の馬蹄形、東南の孤形の少し奥まって四角い石柱の内側に両端をつなぐとても長い回廊を形成しており、この回廊のお陰で、全体の重厚なイメージがかなりすっきりとしている。


現在、2階の営業ホールは基本的に以前の面影のままにしてあり、もし待合用の椅子と電子掲示板を取り除けば、1930年代に撮影された映画のシーンそのものになる。郵便博物館はこのフロアに設置されている。




階段をあがればデパートの屋上ーー空中庭園に到着する。葡萄棚や藤棚が涼を恵み、錦鯉が遊ぶ小川で癒しを享受する。ここからは蘇州河も外灘も陸家嘴も見張らせる、隠れたイチオシスポットでもある。


 


【周辺紹介】


四川路橋の袂にあるビルは毎日黙って蘇州河を見守っている。すぐ近くにある北蘇州路400号にも「河濱大楼」という参観価値の高い歴史的建造物がある。同じビルは今年で御歳75歳、上海発の「リバービュー・アパート」であり、当時は「アジアナンバー1のアパート」と称えられていた。


時間的に余裕があれば、是非バスに乗って多倫路文化名人街にも行ってみてほしい。文化街として整備されたこの通り上にはかつての文化人の銅像や故居などが並びオールドシネマカフェや多倫現代美術館など、一味違う上海を楽しむことが出来る。すぐ近くに魯迅故居もあるので読書人は要チェックだ。


買い物好きなら七浦路へ。上海に住んでいる人ならこの道路名を知らない人はいないほど有名な洋服や小物の卸売市場だ。毎日すごい人ごみなので、手荷物には注意を。