上海市黄浦路15号にあり浦江飯店は1846年に建てられた、全国で第1軒ビジネスホテルです、市内中心部にあり、黄浦江に面したロケーション。外灘や南京路からも歩いてすぐの距離。
【歴史】
1846年上海開港してまだ3年しか経ってないこの年、すでに上海で商売をしようと各国から多くの人がやってきており、ホテル業が成長し始めていた。ペーター・フレックス・リチャードというイギリス人船長がこのホテル業に目をつけ、バンドに近い公館馬路(現 金陵東路)の土地を買い上げ、西洋人をターゲットしたホテルを建立した。
これがリチャーズ・ホテルで、現在の浦江飯店の前身である。
リチャードの目は確かだった。開業から数年後に外白渡橋が開通し、車が往来するようになって、ホテルの売り上げがうなぎのぼりになったのだ。
当時の上海人にとって、ホテルは最先端・新鮮・華麗の代名詞に等しかった。1882年上海初のガス灯点燈テストが行われ、用意された15基のうち、7基がこのホテルに設置されていた。
1882年上海初のサーカス公演会場になる。1901年に自動電話が上海に開通し、その第一期電話設置単位の中に入っていた。他にも、全客室洗面所設置、24時間給湯、ゲストへのシティガイドなど、すべてこのホテルが全世紀初頭に導入しており、現在のホテルレベルにほぼ近いクオリティを保っていた。
1907年ホテルの全面リニューアルが始まり、1910年に現在の浦江飯店が落成。現在、浦江飯店のロビーには柱の上にここに実際に宿泊した著名人の写真が掲げられている。「中国の赤い星」の著者、エドガー・スノウやイギリスの哲学者バートランド・ラッセル、相対性理論のアインシュタイン・・・そして写真を見ても、誰なのかわからないが、その名前が知らない人はいない、チャップリン。あのおどけた白塗りメイクのしたにこんな眉目秀麗な素顔が隠されていたことに驚くことだろう。1931年にホテルを訪れた彼を見た従業員たちはさぞ喜色満面だったろう。
【建物】
まず、浦江飯店の建物で目が行くのは、飛び出たギリシャ神殿式三角形の「山壁」だろう。まるでピント立った耳のようで、その装飾効果は極めて強烈である。この形式を取り入れた建造物は上海では殆ど現存していない。浦江飯店の全体的な外観はヴィクトリア朝バロック様式に準じる。何でも、かつは屋上に「楼亭」があり、そこから見下ろすと一番上海らしい風景を見ることができたそうだ。
ホテル内には孔雀庁という巨大ホールがある。孔雀が尾羽を大きく開いたようなモザイクガラスのドーム型天井に柔らかな光が注ぎこむ。12本の保存状態の極めて良好な「漢白玉」製のローマン支柱が階上に廻る個室の手すりと手すりの間を抜け、個室のバルコニーの裏側を下から見上げると、孔雀が羽を広げたような模様が白地に金縁で施されているのが分かる。ドアのまくさ(横木)の浮き彫りのしたにも孔雀の羽模様。これら一つ一つはもちろん、全体の色彩バランスがすばらしい。孔雀庁の床はスプリングフロアだ。一般的な床は横に敷き詰めるが、この床は板を縦に嵌め込んで弾力性を出し、長い時間のダンスに対し耐久性を高めてある。当時、極東で最も有名なダンスホールであり、オールド上海ドリームを積載したダンスホールだったこの孔雀庁で踊ることが、人生最大の楽しみの一つだと誰もが思っていた。
バロック様式のゴージャスな孔雀庁に対し、三、四階を使った中ホールはシンプルで落ち着きがある。デザインは一艘の船を思わせ、実際の船のように両側に向かって伸びている。
ホテルの創始者をはじめ、歴代のマネージャーたちはみな航海経験があるため、この中ホールには航海に関連したものが満載だ。太陽が透明の天井から射しこみ、赤レンガの壁に一本一本の影を映し出す。空間全体は決して広くは無いが、海や船にまつわるアイテムを見ていると何か壮大で爽快感を感じるのが不思議だ。現在、中ホールはホテルの陳列室になっている。数々の著名人の写真が並ぶ中、一枚の油絵を見つけた。夜の闇の中、大勢の人々が庭園に明々とともる電灯を見つめている絵。1882年の上海初の電灯点灯の様子を描いたものだった。
【周辺紹介】
浦江飯店と上海大厦、外泊渡橋はどれも徒歩圏内にあり、早朝や夕暮れ時の散歩がお勧め。黄浦公園にも20分足らずで行くことが出来る。きれいになった広場は恋を語るのに最適な場所だ。
小腹が空いた時はホテルを出て交差点の脇にある「上海早晨」へ。ここの上海料理は評判が高く、伝統の味をそのまま伝える燻魚(魚の燻製)や糖酢小排(スペリアブの甘酢炒め)、他店ではまずお目にかかれない「老上海氷菓」などは必ずオーダーしよう。メニューのデザインもオールド上海のパスター風で見ているだけで楽しい。黄浦路を番地標識の番号が大きくなっていくよう歩いていくと、ハイアット・オンザバンドに到着する。西楼の32・33階にあるVUE Barは黄浦江両岸の景色が同時に見える、とても贅沢な場所。一番人気はやはりゆっくり景色を楽しめるテラス席。ここでは会話がとぎれても何も怖くないだろう。