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観光地レポート プリント
和平飯店
更新日:2014年12月17日

和平飯店それはあまりにも有名なホテルだ。
上海にかつての栄華な影を探しに来た外国人たちにとって、和平飯店は楽園を求めた冒険者たちの残像であり、昔話に聞いた「東洋第一」の建物としてこのホテルを知らぬものはいない。

歴史的建造物が好きな人々にとって、和平飯店は上海近代建築史上初の現代派様式を完全に表した建造物であり、パーマ&ターナー事務所の最高の看板作品として名高い。オールド上海が好きな観光客にとって、オールドマン・ジャズバンドは上海ツアーに欠かせない。上海人たちにとって、この緑のトンガリ屋根は今でもバンドに欠くことのできない誇るべきランドマークだ。
【歴史】
和平飯店を誇るのに、ナイトの爵位を持つユダヤ系英国人ヴィクタ・サッスーンが1832年にサッスーン商会を設立してから数十年後、サッスーン財閥の三代目当主になったヴィクタは上海で全業務を掌握するようになっていた。1920年に入る頃、ヴィクタは上海灘で「不動産王」として君臨し、南京路上にある不動産の半数の権利をその手に収めていた。この頃、外灘は最後の大改築の真っ最中でヴィクタもバンド22号の地所の開発を傘下のキャセイ不動産会社任せた。そして1929年9月、外灘の南京路口にサッスーンハウスが落成した。
サッスーンハウスは1920年代に外灘に建立された最後の建造物であり、真の意味で上海発の10階建以上の高層ビルだ。このビルの誕生は上海建築界の節目の一つといえるだろう。このビルが竣工しタ前後10年は空前の魔天楼建築ラッシュになり、この間に10階建以上の建物31棟も完成され、その先駆けとなったサッスーンハウスは「東洋第一」と称えられた。
サッスーンハウスの一階は、外灘側をオランダ銀行とベルギー銀行に貸し出し、そのほかの部分はキャセイホテルのロビーとして使用された。キャセイホテルのゲストルームは9タイプ、つまりドイツ・日本・フランス・イギリス・中国・アメリカ・インド・スペイン・イタリアの九ヶ国それぞれのお国柄を捉えたインテリアコーディネイトが自慢だったが、一番豪華かつ保存状態のよかったのは最上階、つまり、10階のヴィクタが自宅として使用したイギリス風のゴージャスな部屋だ。黄浦江を見下ろせる、上海で一番高い場所にあるこの部屋を自ら使用していたことからも、当時のサッスーンの権勢が如何に巨大だったかがうかがえる。オーペンしたキャセイホテルは、そのゴージャンスな内装と堂々たる風格で上海ホテル業界のトップに踊り出、アメリアのジョージ・マーシャル将軍や燕京大学のジョン・L・ステュアト校長、ノーベル文学奨授賞者のジョージ・バーナード・ショーなど、世界中のVIPがキャセイに宿泊し、サッスーンの名を更に高めた。
1949年以後、人民政府がサッスーンマンションに接収管理し1956年にホテルとして再び経営することになり、「和平飯店」と改名された。2007年、和平飯店は世界屈指のホテルグループであるフェアモントと錦江グループの出資により、全面リニューアルが始まった。リニューアルというよりも、超大規模な文化財の修復と言うべきか。全世界からこの建物にかんするありとあらゆる情報や物品を収集し、社会各界や欠く関係筋からの意見やプランなども頻出したことで、この全国重点文物保護単位は建物の風格も内装のディテールも最大限に当時の様子を再建することが出来、「歴史に忠実に、歴史を記録し、歴史を保存し、後人へ伝える。」ことに成功した。
2010年7月、5億元と3年の月日を費やした大改修が完了し、万博に沸く上海に、フェアモント・ピースホテルとして再び営業を始めた。
 
【建物】
和平飯店の最大の特徴はやはり屋上にそびえる高さ19メートルの四角錐だろう。とても独特で奥深いデザインのこの四角錐はピラミッドのようで、緑のボディの角は紅いラインで縁取られており、堂々として立派ながらも落ち着きが見られる。
ピラミッドが屋上にあることだけで十分奇異なのだが、それ以外にもこの建物にはいくつかの特徴がある。花崗岩を貼り、垂直性を強調した外観は、框と横線にのみ彫刻を施したシンプルなものだ。10階部分の黄浦江に面したファサードには小さなバルコニーが飛び出しており、単調になりがちなデザインにフレッシュな変化を与えている。この建物は上海早期の典型的なアールデコ様式の高層建物だ。この建物の完成とともに、パーマ&ターナー事務所のデザインパターンは復古主義からアールデコ主義へと完全に移行した。
ホテル内の屋上、エレベータホール、鋳鉄のテンプレートガラスの真ん中などに「猟犬マーク」が潜んでいる。サッスーンファミリーのシンボルであるグレイハウンドに由来しており、マンションの従業員たちはこの猟犬マークを「天狗」と呼んでいたという。
建物が出来たばかりの頃と同じく、一階の黄浦江側のテナントはオランダ銀行とシティバンクに貸し出し、そのほかは和平飯店が使用した。ホテルのロビーは2本の通路が十字に交差する場所を上手く利用してあり、八角形のドーム型天井しつらえ、四方の壁には精緻な彫刻を浮き彫りにし、太陽の光が天井のガラスを通して黄金色に輝く様は夢幻の世界にいるかのようだ。
ホテルの8階にある和平庁はとても美しいホールで、当時大流行した弾力性の高いスプリング床はもちろん、ホテルの宝とも言うべきラリックのガラスパネルが飾られている。このラリックの作品は当時全世界、特にヨーロッパで大流行した珍しく美しい芸術品である。キャセイホテルが営業していた頃、「ここは上海で最も大きく、最も美しいホテルです。」というコピーを謳っていた。広告はいつの世も過大気味だが、このホテルに至ってはその絢爛豪華なロビーが信?性を証明していよう。
 
【主な出来事】
1877年新サッスーン商会が上海に支社を設立し、中山東一路20号のアメリカの瓊記洋行の物件を買い入れる。
1926年4月改装着工
1929年9月5日サッスーンハウス落成
1956年和平飯店として営業開始
1965年中山東一路19号と合併し、和平飯店北楼と南楼に分別される。
1992年世界的ホテル組織から世界の著名ホテルに認定される。
2007年4月10日和平飯店休業、リニューアル工事開始
2010年7月末新装オーペン
【周辺紹介】
和平飯店は南京東路と滇池路の間に位置し、真向かいにはバンド観光トンネルのチケット売り場がある。チケットを買いさえすれば、黄浦江の底で近未来的な光景を体験できるのだ。ゴンドラのような乗り物でハイテクノロジーを駆使した電光またたくトンネルを抜ける、中国初の川底を抜ける通行者用トンネルで、浦西の出入り口はバンド陳毅広場の北側、浦東側は東方明珠電視塔の南側にある。
黄浦江沿いの景観を楽しむなら、遊覧船に乗ろう。チケット売り場も乗船口もすぐ近くにあり、船上で風に吹かれつつ、バンドの前世紀の景色と対岸にある現代的超高層ビルとの対比を楽しめるのは上海観光のマストイベントだろう。そうそう、カメラも電池も充電もフィルもも、事前に用事するのを忘れずに。
 
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